マイホーム、買うのか買わないのか③

前回は「経済合理的に見ると、ゼッタイに買ったほうがトク」といったケースがあるとお話をさせていただきました。ではそれはいったいどんなマイホームなのか?これをご理解いただくにはまず、住宅市場の現状把握が必要です。

一言でいえば日本の住宅市場はいまだに「新興国モデル」といえます。欧米など他先進国では、住宅の価値が一律に下落していくといった常識はありません。それどころか、時間の経過に従ってむしろ価値を増すものも少なくないのです。例えば分譲地であれば、新築分譲時から時間の経過により木々が美しく生い茂り、近隣住民のコミュニティーが形成され、小中学校などの学区の評判も定着するなかで、その地域の価値が徐々に形成されていきます。

建物について日本ではこれまで「25年で価値ゼロ」でしたが、日本以外の先進国で建物価値が築20-25年で価値がゼロになるなどといった概念はありません。マイホームのオーナーは建物を大事にし、点検やメンテナンスを怠りません。そしてその履歴は、住宅データベースにしっかりと保管しておく。そうすることで価値が維持あるいは向上すると思っているからです。

日本の住宅市場では前述したとおり、築25年を超えて売りに出ている住宅は原則として土地値でしかありません。ひどいものになると、建物が建っているにもかかわらず、あくまで「土地」として売りに出され、備考欄には小さく「古家あり」などと記載されていたりします。この場合には土地値から建物の解体費を差し引いた価格づけが行われます。解体費は30坪程度の標準的な建物で120-150万円程度です。

マイホームを買って住み始めたら 、30-35年の長期的な住宅ローン支払いが始まり、ローン元金と金利を返済し続けなければなりませんが、このとき同時に、建物の価値も減価しているわけです。ということはつまり「住宅ローン元金」と「建物価値」が目減り競争をしているわけです。

例えば4,000万円の新築住宅を、物件価格の90%、3600万円の住宅ローンを利用したときの、住宅ローン残高と資産価格の推移である。現行の金利は1%台のものも多いですが、金利は保守的に3%とします。

このとき建物の価値が25年でゼロになり、土地の価値が研究者によって予想されている通り2%づつ下落していくとすると、マイホームの資産価格と住宅ローン残高がほぼ同額になるのはおよそ27年後。それまでの間はずっと「売ったらマイナス」。いわゆる「家計内債務超過」が発生しているため、万が一売却する場合にはその差額プラス売却費用を捻出しなければなりません。仮に地価がずっと変わらないとして研鑽しても、やっとトントン、つまりどこまでいっても資産形成はできないということです。

要するに「住宅ローンを返済し終わったときに、すでに建物の価値はゼロ、土地の価値だけが残る。建物には価値はないものの、まだ何とか住める」といった事態を許容するのが、日本のマイホーム購入といえます。

日本の住宅市場でもう一つの問題は「建物の寿命が圧倒的に短い」ということ。他先進国では80~140年の寿命を誇りますが、日本のそれはわずか30年とされます。30年で建物が寿命を迎えるなら、住宅ローン返済が終わるころにはまた建て替えなければなりません。

ナゼ日本の住宅市場だけがこうした状況になっているのか。

理由の一つに「法定耐用年数が短いから」と指摘する声があります。木造住宅の法定耐用年数は22年、RC(鉄筋コンクリート)で47年ですが、この年数を目安として価値が下落していくというのです。ところが例えばアメリカの場合、構造にかかわらず法定耐用年数は27.5年。それでも住宅の価値が落ちない市場が立派に成立しています。法定耐用年数とは、減価償却としての税法上の意味しかなく,建物の価値と税法上の法定耐用年数は連動するものではありません。

また「日本の家は木と紙でできているため」「日本は地震国だから」など、いかにももっともらしい理由がいわれます。しかしこれらも全て誤解です。本当の理由は「住宅市場の整備が遅れているから」という、政策の不作為が理由なのです。

これまで説明してきたように、現在時点の未整備な住宅市場では、全く問題のない建物も、買ってはいけない建物も、たんに築年数だけで一律の評価が行われています。これはあたかもロシアンルーレットのようなもの。あなたが今住んでいる、あるいはこれから買おうとしている住宅は今後、どちらに分類されるでしょうか?

しかしここに来てついに、国は住宅市場の整備に本腰を入れ始めました。おそらく2020年には、築年数が経過しても価値の落ちない住宅と、あいかわらず価値ゼロになる住宅とに大別されることになるでしょう。

こうした前提をご理解いただいた上で、具体的にどのような整備が行われるのか?またその上で、価値の落ちない、落ちづらい住宅とはどういうものか?次回以降解説します。

過去記事

vol.5 「マイホーム、買うのかかわないのか②

vol.4「マイホーム、買うのか買わないのか

vol.3 「どこに住宅を買うのがいいか

vol.2 「を買ってリフォーム・リノベ」はこんな業者に注意

vol.1 「を買ってリフォーム・リノベーション」のトラブル

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不動産コンサルタント 長嶋 修(ながしま おさむ)  http://nagashima.in/

不動産デベロッパーで支店長として幅広く不動産売買業務全般を経験後、1999年に業界初の個人向け不動産コンサルティング会社である、不動産の達人 株式会社さくら事務所を設立、現会長。以降、様々な活動を通して“第三者性を堅持した個人向け不動産コンサルタント”第一人者としての地位を築いた。国土交通省・経済産業省などの委員も歴任している。

2008年4月、ホームインスペクション(住宅診断)の普及・公認資格制度をめざし、NPO法人日本ホームインスペクターズ協会を設立、初代理事長に就任。また自身の個人事務所(長嶋修事務所)でTV等メディア出演 、講演、、出版・執筆活動等でも活躍中。業界・政策提言や社会問題全般にも言及する。『マイホームはこうして選びなさい』(ダイヤモンド社)『「マイホームの常識」にだまされるな!知らないと損する新常識80』(朝日新聞出版)『これから3年不動産とどう付き合うか』(日本経済新聞出版社)『「空き家」が蝕む日本』(ポプラ社)他、、著書多数。